ワークとライフを行き来しながら人生を引き上げる plusus ways #01

2019.08.28 member岡本 篤佳

テクノロジーが進化した今、
仕事も価値観もライフスタイルも常に変容し続けている。
個人が世の中と繋がりやすく、いわば、なんでもできてしまう時代の、
それぞれの働き方のNEW STANDARDが知りたくて。

今回は、パブリックはNTT都市開発という総合不動産デベロッパー勤務、セミパブリックはNPO法人plususで活動、セミプライベートは一級建築士・ビル経営士、プライベートは二児の父でもある岡本篤佳さんの代名詞でもある『ワークライフバランスを4つに分類しバランスを保つ』というテーマについて、quod代表兼plusus理事の飯塚洋史さんが聞いた。

ワークライフバランスを行き来しながらバランスを保つ

飯塚:あっつん(岡本さんの愛称)は、ワークライフバランスを運用するのが得意というイメージがあるよね。

岡本:2013年ごろからこの資料を作っていて(資料写真)。ワークってライフの一部だなと思っていて、簡単に切り分けてバランスというものでもないし、行き来をしているはずと思っている。IBMの話だと、ワークライフインテグレーション(結合)というキーワードが、2012年ごろからあるぐらい。片一方にパブリックがあって、もう片一方にプライベートがある中をどういう風に行き来を続けて行こうかなと考えていて、ワークライフバランスを4つに分類(パブリック、セミパブリック、セミプライベート、プライベート)しているんだよね。1日24時間は変わらないから、1週間でこれらの時間の使い方をどう配分していくか、ということを意識するようにしているかな。

『ワークライフバランスの4つの分類』

パブリック
本業。生計を成り立たせるもの。
セミパブリック
生計は成り立たせないけど本業に近いもの。今はplususの活動をここに位置付けている。
セミプライベート
資格やスキルの取得が中心。
プライベート
家事や趣味、家族との時間、育児の時間。

ワークもライフ(生活)の一部

飯塚:ワークライフバランスの中でも、セミパブリックの領域を維持できている人はずっとハイパフォーマンスを出している人が多い気がしていて。セミパブリックでは具体的にどんな活動をしている?

岡本:セミパブリックだと、まず、plususの活動がメインにあって。その中で、ファシリテーターや、ビジネスとデザインのディレクションをしています。他には、母校の建築学科のOBOG会の事務局として、セミナー運営なども行なっていて、人脈作りは積極的にするようにしているかな。セミパブリックの場の方が人脈作りは広く行うことができると思っていて。仕事で出会う人だとどうしても利害関係があるから、お互いに会話の際に構えてしまうこともあるので、なかなか仕事のパートナー以上の関係性を構築するのが難しいよね。様々なつながりの形が作れるのが、セミパブリックのいいところかな。

飯塚:思えば、plususに入った時も『セミパブリックとして活動するから』というプレゼンが明確だったよね。

岡本:当時この資料を持って『俺はこういう風にやりたいから、plususをここに位置付けているから』って決めてたよね、勝手に(笑)。企業に勤めながら、NPOで何をやりたいか、そこでどう連携をすれば相互作用があるか、そんなことを考えながら2014年からplususの活動を続けているけど、結果それぞれからベネフィットをもらっているし、有意義な時間が過ごせていると実感していて。だから今でも居続けている。

飯塚:あっつんは自分のやっていることをコンセプト化して、整理して人にわかりやすく伝えるのがうまいよね。plususやquodでもその強みに助けられている部分は大きいと思っていて。

岡本:人の言っていることの要点を抑えて再編集するのも得意な方かな。現在のプラサスメンバーの構成において、個々人のスキルの足りないところを補い合っている関係性は、“自分はここにいていいんだ”という居心地に変わっていて。こういうチャンスをもらえるのはすごくありがたいし、自分自身も本業のプロジェクトにセミパブリックで出会った人を巻き込んでいきたいとも思うしね。

セミパブリックの場は、ちょうどいい

飯塚: いろんな人を巻き込んでいくという点では、ディベロッパーという仕事はその象徴的な立ち位置にいると思うんだけど。

岡本:ディベロッパーの仕事の一つに街づくりがあるけど、街づくりなんてとても一人ではできないから、関わる人をチームビルディングしていくんだけど、その人たちが思っていることの本質を捕らえられていないと、向かっている方向を一緒にすることは難しいよね。だから、人に会って対話をすることを大事にしているかな。人が街の中で生活する上でどう思っているか本音が知りたい時や意見交換をしたい時に、セミパブリックの場を使うようにしているんだよね。そうすることで、街づくりをする時に本来どういうことを考えないといけないのかとか、こうした方が上手くいくな、ということが本業に活かせる。

飯塚:plususの『品川まちゼミ(※1)』は、その象徴的な事例だよね。

岡本:自分が当時品川のオフィス商業の複合ビルを担当していて、それを進めていく中で、品川の街全体をもう少しこういう街にした方がいいんじゃないか、という話が関係している人たちとの会話で出るものの、そう思っているのは開発サイドの自分達だけなんじゃないか、という悩みもあって。街づくりをする時に一人だけの運動じゃ何もできないので、街の人たちがどう考えているかをまず知りたいと思ったんだよね。そんな時に、plususの活動で、北品川を今後どう良くしていったらいいかを考える『しながわまちゼミ』の運営に携わることになった。

飯塚:毎回、北品川商店街の方がゲストを呼んでくれて、僕とあっつんが司会をしていたよね。下町だとどうしてもディベロッパーは悪として捉えられがちだけど、北品川の人たちは、自分達の意見も言いながら、ディベロッパーの力も借りて、という考え方が新鮮だなと思った。

岡本:街にはキーパーソンがいて、その人とやりとりをするのがとても大事だと思っている。ここでも、セミパブリックの場がすごくちょうどいい役割をしてくれていて、『なんでこの人は、仕事以外の時間を捻出してまでこのプロジェクトを本気でやってるのか?』と相手が疑問に思ってくれたらチャンスだと思っていました。それって、本当にやりたいことだからじゃないとできないよね、という目線で見てもらえる上に、説得力が加われば、信頼を築きやすくなる。信頼してもらうためには、価値を出さないといけないので、ファシリテーションの雰囲気を見てもらうとか、実際いろんな知識があってこう言うことを言っているんだなとか。そう言うところ知ってもらうことでより信頼関係を深めていくことが大事だと思う。でも、早くに信頼関係が築けたのは、個人の力だけではなく、plususのメンバーの飯塚さん、中川さんの存在も大きくて。2人が人たらしだから(笑)、打ち解けた場ができていたから、やりとりもスムーズに進んだし。

飯塚:セミパブリックのplususだからできることだよね。お互いにお互いの信用を使わせてもらって、自分では入れない領域に入りあえる。これができると、ビジネス的な意味でも、人生的な意味でも幅が広がるよね。岡本:そのおかげで、本質的な言い合いができたし、ヒートアップしすぎて気づいたら深夜3時になってたということもあったし…。街にダイブできている感じがあったね 。

自分が何者かを考える

岡本:セミパブリックの活動中にで会社名を言うか悩ましいところがあって、結局その肩書きに頼っている部分もあるから。それは今後の課題かな…。

飯塚:兼松佳宏さんが提唱する「beの肩書き」というアイデアがあって。beの肩書きというのは、自分が貢献できる価値の源となる働きを肩書きにしているんだよね。兼松さんだと“勉強家”を肩書きにしていて、自分がこうありたいと思うことを肩書きにするのって新しいなと思った。plususの場が、beの肩書きを探る場としても機能していくと面白いなと思うよね。

岡本:いろんな人と関わりたいと思った時に、まず自分からこういうことを考える人間で、背景も含めて言っておいた方が、相手も開示してくれやすくなるよね。元々、小・中学生の時に転勤族だったこともあって、受け入れてもらうためには、自己表現力を身に着ける必要があった。その後、建築学科に進んで、自らが考えて作ったものに対して相手を説得させるために、自分なりの哲学も必要になるし。今思えば、小さい頃からの訓練の連続だったと思う。入社当初も、自分が今一番できることをやろうと考えた時に、セルフブランディングだったらすぐにできると思って、自分でサイトを作って、地方活性化の活動をしている都心にいる人たちにインタビューをしていたし。結果、その活動を通してplususにも出会えた。

ワークとライフを行き来しながら人生を引き上げたい

飯塚:あっつんのワークライフバランスを4つに分類する考えは、今のplususを考えるベースにもなっているよね。普通は、ワークかライフか切り分けてどちらかに偏りがちだけど、数ヶ月先までバランスをとってスケジュールできているのはすごい。

岡本:どれも上手くやっていたいっていう贅沢な思考なのかもしれない(笑)。パブリック、セミパブリック、セミプライベート、プライベートのどの部分も上げて行きたいし、そうすることで人生も引き上げて行きたいタイプだから。一見疲れそうだけど、自分にとっては仕事だけの方が精神的に疲れてしまう。仕事でミスをしてリカバリーしようとするけど、そのチャンスが来なければリカバリーもできない。でも、それを取り返すためにセミプライベートの時間で勉強してもっと知識をつけようとか、セミパブリックのplususの活動で結果出すとか、そういう自信や努力が結果パブリックにも戻ってくるという考えだと、別のところでリカバリーができるよね。行き来を続けることが自分のワークライフバランスの“バランス”を保っているんだと思う。

飯塚:あっつんらしい面白い働き方のNEW STANDARDの話ができたのではないかなと思います。ありがとうございました。


岡本 篤佳(おかもと あつよし)

NTT都市開発株式会社 商業事業本部
1983年生まれ。兵庫生まれ千葉育ち東京勤務。千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻を卒業後、本業デベロッパーにて商業・ホテル開発とオフィス営業を担当。都市計画から具体的なまちづくりのプランニングや建築計画へと実行計画に落とし込むのを得意とし、過去に品川エリアマネジメントの立上げと推進、福岡での商業施設開発、数十年先の不動産の将来予測、都市的なビッグデータ活用の基礎研究などを担当。街づくりをライフワークにをモットーに、都心部と地方中核都市としの流通が活性化し日本が元気になることを目指して活動中。

飯塚 洋史(いいづか ひろし)

東京大学大学院(都市工学専攻)にて、Creative classと都市の関係、third placeについて研究。また大学時代にはラクロスにて日本一を目指し、2008年・2010年東大ラクロス部男子Head Coachを務める。2008〜2016年(株)日本政策投資銀行に勤務(M&A アドバイザー、通信・総合電気・不動産業界の長期融資や仕組み融資、新規事業企画等に従事)
事業家に向き合い続け、事業家のライフミッションを表現するための新規事業の企画、具現化を目指す。スポーツチームや新規事業チームのマネージメント経験を生かしながら、新規事業企画チームのビルドアップ・マネージメントを行う。また企業提携企画やファイナンス思考にも強みを有する。


※1:『東海道品川宿まちゼミ』とは、「東海道の歴史性を活かしたまちづくり」を進めることを目的に、昭和63年に設立された「旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会」において。2014年から2015年にかけて、東海道品川宿のこれからを考えるために交通や、都市計画、サードプレイス等の観点からゲスト講師招きゼミナールを行ったもの。プラサスはこの取組のコーデネーターやファシリテーターとして活動。